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傷病手当金 読了目安:約7分

傷病手当金の申請書の書き方
本人が書くのは2ページだけ

協会けんぽの傷病手当金支給申請書は4ページ。書類を前に手が止まっている方に、まずお伝えしたいのは 「全部を自分で書くわけではない」ということです。本人が記入するのは1〜2ページ目だけ。 3ページ目は会社が、4ページ目は医師が記入します。誰に何を頼み、どこへ出すのか—— 退職後に自分で申請する場合の注意点まで、協会けんぽの一次情報をもとに整理します。

申請の前に:支給される4つの条件

傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やけがの療養のために働けず、給与を受けられないときの 生活保障として支給される給付です。協会けんぽが示す支給の条件は次の4つです。

支給される4つの条件(すべて満たす必要があります)
  • 業務外の病気やけがの療養のための休業であること(仕事中・通勤途中の傷病は原則、労災保険の対象です)
  • 療養のため仕事に就くことができないこと(労務不能かどうかは、医師の意見と業務内容などをもとに保険者が判断します)
  • 連続する3日間(待期)を含み、4日以上仕事に就けなかったこと
  • 休業した期間について給与の支払いがないこと(傷病手当金の額より少ない給与が支払われた場合は差額が支給されます)

支給されるのは、休み始めてから4日目以降の労務不能の日についてです。最初の連続3日間(待期)は支給対象になりません。 待期の3日間には土日・祝日などの公休日や有給休暇も含めてカウントされ、給与の支払いがあったかどうかは待期の成立に関係ありません。 1日あたりの金額(支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均÷30×3分の2)や、 支給期間(支給開始日から通算1年6か月)の詳しい仕組み、失業手当との関係は 「傷病手当金と失業手当は同時にもらえる?」で解説しています。

申請書は4ページ。本人が書くのは2ページだけ

協会けんぽの「健康保険傷病手当金支給申請書」は4ページで1セットです。 ただし、4ページすべてを本人が書くわけではありません。本人が記入するのは1〜2ページ目だけで、 3ページ目は会社(事業主)が、4ページ目は療養を担当する医師が記入します。

申請書の構成 4ページ 1〜2=本人/3=会社/4=医師。役割分担がはっきり分かれている
本人が記入するのは 2ページ 残る2ページは、会社と医師にそれぞれ記入を依頼する
ページ記入する人主な内容
1ページ目本人(被保険者記入用)氏名・住所・記号番号・振込先口座
2ページ目本人(被保険者記入用)申請期間(療養のために休んだ期間)・仕事の内容・確認事項
3ページ目会社(事業主記入用)申請期間中の勤務状況と給与の支払い状況の証明
4ページ目医師(療養担当者記入用)労務不能と認めた期間などについての医師の意見

進め方の目安としては、①本人が1〜2ページ目を記入する、②医師に4ページ目の記入を依頼する、 ③会社に3ページ目の証明を依頼する、④そろったら提出する、という流れになります (退職後の期間分は③が不要になります。後述)。 様式の注意書きにあるとおり、申請書は申請期間が終わる前に提出できないため、②③の依頼も申請期間の経過後が基本です。

入手方法と様式の注意 — 健保組合は様式が異なる

協会けんぽに加入している方は、協会けんぽの公式サイトから 最新の様式(手書き用PDF・入力用)と記入例をダウンロードできます。様式は改定されることがあるため、 手元に古い用紙がある場合も、申請時点の最新版を使うのが安全です。

注意したいのは、この申請書が使えるのは協会けんぽの加入者だけという点です。 大企業などの健康保険組合(○○健康保険組合)に加入している方は、様式も提出先も組合ごとに異なります。 自分がどちらに加入しているかは、保険証(または資格情報のお知らせ・マイナポータル)の「保険者名称」で確認できます。 健保組合の方は、組合のサイトまたは窓口で様式を入手してください。

また、傷病手当金は健康保険の給付なので、窓口はハローワークではありません。 失業手当(雇用保険)と並行して手続きを進めている方は、書類の提出先を混同しやすいので注意してください。

被保険者記入用(1〜2ページ目)のポイント

1ページ目は氏名・住所・振込先など、2ページ目は申請期間などの申請内容です。 協会けんぽの記入例に沿って書けば難しいものではありませんが、つまずきやすい点をまとめます。

事業主記入用(3ページ目)は会社に依頼する

3ページ目は、申請期間中の勤務状況(出勤した日)と給与の支払い状況を会社が証明するページです。 本人が書く欄はないので、1〜2ページ目を書き終えたら会社(人事・労務の担当部署)に記入を依頼します。 在職中の申請では、給与の締め日ごとに証明してもらう必要があるため、 協会けんぽは1か月単位で、給与の締切日ごとに申請することをすすめています。

退職後の期間分を申請する場合はどうでしょうか。協会けんぽの記入の手引きには、 資格喪失日以降の期間に関する申請は、事業主記入用を空欄のまま提出してよいと明記されています。 退職して会社との関係が終わったあとの期間について、会社に証明を求める必要はありません。 ただし、在職中の期間分を退職後にまとめて申請する場合は、その期間の証明は退職した会社に依頼する必要があります。

療養担当者記入用(4ページ目)は医師が記入する欄

4ページ目は、様式に「療養担当者が意見を記入するところ」と書かれているとおり、 療養を担当している医師など(療養担当者)が、診療の事実にもとづいて労務不能と認めた期間などの意見を記入するページです。 つまりこのページは、本人が内容に関与する欄ではありません。 本人がすることは、受診の際に記入を依頼することと、自分の状態や仕事の内容を正確に伝えること。この2つだけです。

依頼のタイミングにも注意が必要です。申請書はそもそも申請期間が終わる前に提出できない仕組みのため、 証明の依頼も申請期間が終わったあとの受診時に行うのが基本です。 また、療養の途中で転院した場合は、それぞれの病院で担当した期間についての証明を受ける必要があります。 主治医が変わるなどして4ページ目が複数枚に分かれる場合は、申請書自体を分けて申請します。

ここは必ず押さえてください

労務不能かどうかの判断は医師の意見をもとに保険者(協会けんぽ・健保組合)が行うものであり、 本人が証明の内容を指定したり、実際より重い状態であるかのように伝えたりすることはできません。 事実と異なる申告や証明にもとづいて傷病手当金を受け取ることは不正受給にあたり、 受け取った額の返還を求められるほか、悪質な場合は刑事責任を問われるおそれもあります。 体調や就労の状況が変わったときは、そのままにせず保険者に申し出てください。

提出先と申請のタイミング

書類がそろったら、加入している協会けんぽの都道府県支部へ郵送します (窓口での現金支払いは行われていません)。自分の支部は、資格情報のお知らせまたはマイナポータルで確認できます。 協会けんぽは電子申請もすすめており、システムチェックで記載もれを防げるほか、申請後の処理状況も確認できます。

項目内容
提出先加入している協会けんぽの都道府県支部(郵送)または電子申請。健保組合の方は組合の案内に従う
申請の単位1か月単位・給与の締切日ごとの申請が推奨(1枚に書ける申請期間は暦で3か月以内)
支払いまでの目安審査の結果、支払可能であれば受付日から10営業日以内(協会けんぽの案内。書類に不備や確認事項があればさらに時間がかかります)
申請の期限(時効)労務不能であった日ごとに、その翌日から2年(時効の期間は健康保険法193条、起算日は協会けんぽの案内による)

時効の2年は「労務不能であった日ごと」に進みます。療養が長引いてから何か月分もまとめて申請しようとすると、 古い日の分から順に時効を迎えていくことになります。期限に余裕があるうちに、区切りごとに申請していくのが安全です。

退職後に申請する場合

退職して被保険者の資格を失ったあとも、次の条件を満たす場合は、引き続き傷病手当金を受け取れます(継続給付)。 協会けんぽの記入の手引きでは、次の3つが挙げられています。

退職後も受け取れる条件(継続給付)
  • 資格喪失日の前日(退職日)までに、被保険者期間が継続して1年以上あること(任意継続被保険者の期間・共済組合の組合員だった期間・国民健康保険の期間は含みません)
  • 退職日の時点で、傷病手当金を受けているか、受けられる状態(待期が完成し、労務不能であるなどの条件を満たしている状態)であること
  • 退職後も引き続き同一の傷病により働けない状態であること

「受けられる状態」に待期の完成が含まれる点は重要です。連続3日以上休んだ状態をつくらないまま退職日を迎えると、 継続給付の対象になりません。さらに協会けんぽのFAQでは、退職日に出勤したときは継続給付の条件を満たさず、退職日の翌日以降の傷病手当金は支払われないとされています。 挨拶や引き継ぎのために退職日当日だけ出社する——それだけで退職後の支給が受けられなくなるため、最終出社日と退職日の関係は退職日を決める前に必ず確認してください。 また、いったん働ける状態になって支給が終わると、その後に再び働けなくなっても継続給付は再開されません (詳しくは「傷病手当金と失業手当は同時にもらえる?」の継続給付の章をどうぞ)。

退職後の申請では、書類は本人が直接、協会けんぽ支部へ郵送します。 前述のとおり、資格喪失後の期間分について事業主記入用(3ページ目)は空欄のままで構いません。 医師の証明(4ページ目)は退職後も引き続き必要です。

もうひとつ、退職後の療養で忘れてはいけないのが失業手当の受給期間延長です。 傷病手当金を受け取っている間も、失業手当の受給期間(原則1年)は刻々と進んでいきます。 延長申請をセットで済ませておかないと、回復して失業手当に切り替えようとしたときに権利が消えかけている——という事態が起こります。 手続きの詳細は「失業手当の受給期間は1年で失効|延長申請の条件・期限・必要書類」で解説しています。

シミュレーション

申請の前に、受け取れる金額の目安を知っておく

標準報酬月額をもとに、傷病手当金の1日あたりの金額と受け取れる期間の目安を確認できます。療養中の生活費の見通しを立ててから、落ち着いて手続きを進めてください。

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よくある疑問Q&A

土日や祝日を挟んでも、待期の3日間は成立しますか?

成立します。待期の3日間は「連続して仕事に就けなかった3日間」であればよく、 土日・祝日などの公休日や有給休暇を使った日も含めてカウントされます。 逆に、途中で1日でも出勤すると連続が途切れ、そこからまた数え直しになります。

申請してから、いつ振り込まれますか?

協会けんぽは、審査の結果支払可能であれば受付日から10営業日以内に支払うと案内しています。 ただしこれは書類がすべてそろい、不備がなかった場合の目安です。記入もれや確認事項があると その分だけ後ろにずれるため、提出前に記入例と照らし合わせて確認しておくことが、結局いちばんの近道になります。

医師に「こう書いてほしい」とお願いすることはできますか?

できません。4ページ目は療養担当者(医師)が診療の事実にもとづいて意見を記入する欄であり、 内容は医師の判断によるものです。本人ができるのは、記入を依頼することと、 自分の状態や仕事の内容を正確に伝えることだけです。 働けるかどうかを最終的に判断するのは、医師の意見をもとにした保険者(協会けんぽ・健保組合)です。 事実と異なる内容の証明を求めることは、不正受給につながる行為であり、絶対に避けてください。

まとめ

主な参照元(一次情報)

※制度は改正されることがあります。最新の取り扱いは上記の公的情報および加入している協会けんぽ支部・健康保険組合でご確認ください。

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最終更新日:2026年8月9日
※本記事は2026年8月時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の支給可否は協会けんぽ・健康保険組合など関係機関の判断によります。
※報酬を得て申請書の作成・提出手続きを代行できるのは社会保険労務士に限られます。本記事は制度と手続きに関する一般的な情報提供です。

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