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職業訓練 読了目安:約7分

公共職業訓練と求職者支援訓練の違いは?
失業保険の有無で分かれる区分と申込みの流れ

「職業訓練」と呼ばれる公的な訓練(ハロートレーニング)には、公共職業訓練求職者支援訓練の2系統があります。 分かれ目はシンプルで、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給できるかどうか。 どちらも受講料は無料(テキスト代は自己負担)ですが、訓練中に受け取れるお金の仕組みがまったく違います。 2つの違いと、ハローワークでの申込みから受講開始までの流れを、一次情報をもとに整理します。

公共職業訓練と求職者支援訓練の違いは? — 失業保険を受給できるかで分かれる

答えから言うと、公共職業訓練(離職者訓練)は主に失業保険(基本手当)を受給している方のための訓練、 求職者支援訓練は基本手当を受給できない方(受給し終えた方を含む)のための訓練です。 どちらも厚生労働省・ハローワークが関わる公的制度「ハロートレーニング」の一部で、受講料は無料(テキスト代等は自己負担)。 自分がどちらの区分になるかの目安は、まず次の1問で整理できます(最終的にどの扱いになるかはハローワークの判断です)。

失業保険(雇用保険の基本手当)を受給できますか?

はい公共職業訓練が基本。基本手当を受け取りながら受講でき、条件を満たせば訓練終了日まで支給が延長されます
いいえ求職者支援訓練が基本。収入などの要件をすべて満たせば職業訓練受講給付金(月10万円)を受給できます

※厳密な例外もあります。2022年7月からは基本手当を受給できる方がハローワークの受講指示で求職者支援訓練を受けることも、 逆に受給できない方が期間の長い公共職業訓練を受講することも可能です。どの組み合わせになるかはハローワークが個別に判断します。

重要なのは、訓練の名前より「自分がどちらの立場で受けるか」でお金の仕組みが決まることです。 基本手当を受給できる方がハローワークの受講指示を受けて訓練を受ければ、 所定給付日数を使い切っても訓練終了日まで基本手当が続きます (訓練延長給付。条件は「職業訓練で失業手当は延長される?訓練終了日まで支給が続く「訓練延長給付」の条件」で詳しく解説しています)。 受給できない方は、本人収入月8万円以下などの要件をすべて満たせば月10万円の給付金の対象になります(詳細は後述)。

2つの訓練の違い早見表

公共職業訓練(離職者訓練)求職者支援訓練
主な対象者主に基本手当を受給している求職者基本手当を受給できない求職者(受給し終えた方を含む)
受講料無料(テキスト代等は自己負担)無料(テキスト代等は自己負担)
訓練期間概ね3か月〜2年2〜6か月
実施主体国(ポリテクセンター)・都道府県・委託先の民間機関国の認定を受けた民間の教育訓練機関
訓練中のお金基本手当(受講指示なら訓練終了日まで)+受講手当・通所手当要件をすべて満たせば職業訓練受講給付金(月10万円)+通所手当
申込み窓口ハローワークハローワーク
選考あり(面接・筆記試験等)あり(面接・筆記試験等)

※厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」「求職者支援制度のご案内」にもとづく2026年9月時点の整理です。

修了後の就職状況も公表されています。令和5年度に修了した公共職業訓練(離職者訓練)の就職率(訓練修了3か月後)は 施設内訓練86.4%・委託訓練73.6%、令和6年度に終了した求職者支援訓練は 基礎コース60.9%・実践コース62.4%(雇用保険適用就職ベース)でした。 算定方法が異なるため単純比較はできませんが、いずれも公的統計として確認できます。

なお、訓練中の生活費として月10万円を受け取れる職業訓練受講給付金には、 本人収入が月8万円以下・世帯全体の収入が月30万円以下・世帯全体の金融資産が300万円以下・ 現住所以外に土地建物を所有していない・訓練実施日にすべて出席する(やむを得ない理由がある場合でも8割以上)—— といった収入・資産・出席の要件をすべて満たす必要があります。 このほか、世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている方がいないこと、 過去6年以内にこの給付金を受けていないことなどの要件もあります。収入要件を満たさない場合でも、 本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下であれば通所手当のみ支給される特例があります。

申込みから受講開始までの流れ — どちらもハローワーク経由

どちらの訓練も、ハローワークを通さずに訓練校へ直接申し込むことはできません。 受講するには、ハローワークに求職申込みをしたうえで、訓練実施施設の選考に合格し、 ハローワークで受講あっせんを受ける必要があります。 受講あっせんは、①訓練の受講が適職に就くために必要であると認められ、 かつ②訓練を受けるために必要な能力等を有する、とハローワークが判断した方に対して行われます。

求職申込み・職業相談ハローワーク
受講申込み募集期間内
選考(面接・筆記等)→ 結果通知訓練実施施設
受講あっせんハローワーク
訓練開始 → 修了受講
厚生労働省「ハロートレーニング受講の流れ」にもとづく模式図。申込み・あっせんはハローワーク、選考は訓練実施施設での手続きです。 受講開始後も、訓練期間中から修了後3か月間は原則月1回ハローワークで職業相談を受けます(求職者支援制度の場合)。

スケジュールで注意したいのは、各段階に締切があり、あとから巻き返せないことです。

申込みでつまずきやすいポイント
  • 受講申込みは募集期間内のみ — 訓練コースごとに募集期間が決まっており、期間外の受付はできません(埼玉県の離職者等再就職訓練の例)。願書にハローワークの受付印が必要とされる地域もあります
  • 募集最終日に初めて相談に行くと、申し込めないことがある — 訓練コースの選定はハローワークの職員との職業相談を通じて行うため、労働局も「募集期間の最終日に初めて相談に来られた場合、お申し込みができない場合があります」と明記しています(兵庫労働局)
  • 基本手当を受給中の方は「残り日数」の条件もある — 受講指示は訓練開始日に所定給付日数の残りが一定以上ないと受けられません。必要な残り日数の早見表は「職業訓練で失業手当は延長される?訓練終了日まで支給が続く「訓練延長給付」の条件」に掲載しています。自分の所定給付日数は「失業手当は何日もらえる?所定給付日数の早見表と「算定基礎期間」の数え方」で確認できます

つまり、訓練を選択肢に入れるなら、受給手続きの早い段階でハローワークの訓練窓口に相談を始めるのが現実的です。 募集期間・選考日・開講日はコースごとに決まっており、 厚生労働省の「ハロートレーニングコース情報検索」で都道府県・分野・募集期間から探せます。 気になるコースが見つかったら、その足で職業相談に進むのが確実です。

受講指示・受講推薦・支援指示 — 同じ訓練でも「お金の扱い」が変わる

見落とされがちですが、ハローワークの受講あっせんには 受講指示・受講推薦・支援指示の3種類があります(ポリテクセンターの受講案内などに明記されています)。 同じ訓練コースを受けても、どのあっせんで受講するかによって、訓練中に受け取れるお金が変わります

あっせんの種類主な対象お金の扱い
受講指示 基本手当の受給資格があり、残り日数などの条件を満たす方 基本手当を受給しながら受講。所定給付日数を使い切っても訓練終了日まで支給が続く(訓練延長給付)ほか、受講手当(日額500円・上限40日分)・通所手当が支給されます
受講推薦 受講指示の条件(残り日数など)を満たさない方等 訓練の受講自体は可能。ただし訓練延長給付・受講手当・通所手当の対象にはなりません。受給中の方の基本手当は所定給付日数の範囲内で支給されます
支援指示 基本手当を受給できない方(特定求職者) 収入などの要件をすべて満たせば職業訓練受講給付金(月10万円)と通所手当の対象になります

※訓練延長給付・技能習得手当の対象になるのは「受講指示」を受けた場合です(雇用保険法24条・愛知労働局リーフレット)。 自分にどのあっせんが行われるかは、残り日数などをもとにハローワークが判断します。

ここで大事な線引きがひとつ。訓練に自分で申し込んで選考に合格しただけでは、受講指示にはなりません。 受講指示は「早期の再就職のためにこの訓練が必要」とハローワークが認めて行うものです。 基本手当を受給中の方は、申込みの前の職業相談の段階で、 受講指示の対象になるか(残り日数の条件を満たすか)を必ず確認してください。

給付制限中に訓練が始まったら?

自己都合退職などで給付制限(原則1か月)がある方が、 ハローワークの受講指示を受けて公共職業訓練等を受ける場合、 訓練を受けている期間と、受け終わった日のあとの期間には、給付制限が行われません(雇用保険法33条1項ただし書)。 給付制限の期間中に訓練が始まれば、その日から基本手当の支給対象になります。 ただし、給付制限を短くする目的で訓練を選ぶ制度ではありません。 受講指示は、その訓練が再就職に必要だとハローワークが認めた場合に行われます。

給付制限の仕組みそのもの(原則1か月への短縮・3か月になるケース・教育訓練の受講による解除)は、 「失業保険の給付制限、自己都合は原則1か月|3か月になる例外と2025年4月改正」で詳しく解説しています。

注意点とよくある勘違いQ&A

ここは必ず押さえてください

職業訓練は再就職のための制度です。就職する意思がないまま給付を受ける目的だけで受講することは制度の趣旨に反し、受講あっせんの対象にもなりません。 また、出席していない日を出席したことにする、訓練期間中に働いた事実を申告しない——こうした行為は不正受給にあたり、 支給の停止・返還命令に加え、納付命令の対象になることがあります。手続きはすべて事実のとおりに行ってください。

訓練校に直接申し込むことはできますか?

ハローワークを通さずに申し込むことはできません。公共職業訓練も求職者支援訓練も、申込みの窓口は住所地を管轄するハローワークです (地域によっては、ハローワークで手続きした願書を訓練実施施設へ郵送する方式もあります)。 求職申込みと職業相談を経て受講申込みを行い、訓練実施施設の選考に合格したうえで、 ハローワークの受講あっせんを受けてはじめて受講できます。 願書にハローワークの受付印がないと出願できない地域もあります。

選考に落ちたら、失業手当はどうなりますか?

失業手当(基本手当)はこれまでどおり、所定給付日数の範囲内で支給が続きます。選考の合否は支給に影響しません。 別のコースに再応募することもできます(施設によっては同じ開始月のコースで第2志望まで申し込める仕組みもあります)。 ただし、基本手当を受給中の方が受講指示を受けるには残り日数の条件があるため、 再応募で開講日が後ろにずれると条件を満たせなくなる場合があります。早めにハローワークへ相談してください。

過去に職業訓練を受けたことがあっても、また受けられますか?

制限があります。公共職業訓練は、原則として受講開始日からさかのぼって1年以内に公共職業訓練を受講した方は対象になりません(ポリテクセンターの受講案内より)。 求職者支援訓練にも、公的職業訓練の受講終了後1年未満の方は原則対象外とする取り扱いがあります。 該当しそうな方は、申込み前にハローワークで確認してください。

シミュレーション

訓練を考える前に、まず自分の受給額と日数を知る

公共職業訓練と求職者支援訓練のどちらの区分になるかは、失業保険を受給できるかどうかで決まります。 年齢・加入期間・離職理由から、いくら・何日分もらえるのかの目安を試算できます。

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まとめ

主な参照元(一次情報)

※制度は改正されることがあります。最新の取り扱いは上記の公的情報および管轄のハローワークでご確認ください。

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最終更新日:2026年9月1日
※本記事は2026年9月時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の受給可否は管轄のハローワークなど関係機関の判断によります。

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