失業手当は何日もらえる?
所定給付日数の早見表と「算定基礎期間」の数え方
失業手当(基本手当)を受け取れる日数は所定給付日数と呼ばれ、90日から330日まで (就職が困難な事情がある方は最長360日)の幅があります。 決まり方は「年齢」「算定基礎期間」「離職理由」の3つの組み合わせだけ。 この記事では3つの早見表をすべて掲載したうえで、多くの解説記事が説明を省いている 横軸の「算定基礎期間」の数え方を、雇用保険法の条文にもとづいて解説します。
この記事の内容
結論:日数は3つの変数だけで決まる
所定給付日数は、次の3つの組み合わせで機械的に決まります。交渉や申告で増減するものではありません。
- ① 離職理由 — 自己都合などの一般の離職者か、倒産・解雇などの特定受給資格者か、就職が困難な事情がある方か。使う表そのものが変わります
- ② 算定基礎期間 — いわゆる「雇用保険に入っていた年数」。すべての表の横軸です
- ③ 離職時の年齢 — 表2にしか登場しません。自己都合退職の方の日数は年齢では変わりません
ポイントは、①の離職理由で「どの表を見るか」が決まり、②と③で「表のどのマスか」が決まるという二段構えになっていることです。 以下、3つの表を順に見ていきます。自分がどの表を見るべきかは、離職理由で判断してください。
障害があるなど、就職が困難な事情としてハローワークに認められていますか?
離職理由は、倒産・解雇(懲戒解雇を除く)・雇止め(更新を希望したのに更新されなかった場合)など、自分の意思によらないものですか?
※質問の順番に意味があります。就職が困難な事情がある方は、離職理由にかかわらず表3が優先されます(雇用保険法22条2項・23条2項)。
【表1】自己都合・定年・懲戒解雇の方 — 年齢は関係ない
自己都合退職、定年退職、および自分の責めに帰すべき重大な理由による解雇(懲戒解雇)で離職した方の表です。 退職する方のもっとも多い層がここに当てはまります。
| 算定基礎期間 | 1年未満 | 1年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|
| 全年齢共通 | 90日※ | 90日 | 120日 | 150日 |
※自己都合退職の場合、そもそも受給資格を得るには離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要です。したがって算定基礎期間が1年未満で受給資格を得られるのは、6か月で受給資格を得られる特定理由離職者などに限られます。
この表に年齢の区分はありません。雇用保険法22条1項が「算定基礎期間20年以上=150日」「10年以上20年未満=120日」「10年未満=90日」とだけ定めているためです。 25歳でも55歳でも、自己都合退職で勤続8年なら同じ90日です。 「年齢が上がると失業手当の日数が増える」と語られることがありますが、それは次の表2の話であって、自己都合退職には当てはまりません。
【表2】倒産・解雇・雇止めの方
倒産や解雇など、再就職の準備をする時間的な余裕なく離職を余儀なくされた方は特定受給資格者として扱われ、 年齢と算定基礎期間に応じてより長い日数が設定されます。 また、特定理由離職者のうち「有期労働契約の更新を希望したのに更新されなかった(雇止め)」方も、この表が適用されます。 なお、就職が困難な事情がある方(表3)は、離職理由にかかわらず表3が優先されます。 ハローワークの表でもこの区分は「就職困難者を除く」と明記されています(雇用保険法23条2項)。
| 離職時の年齢\算定基礎期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※30歳未満には20年以上の区分が設けられていません(雇用保険法23条1項5号)。30歳未満でその期間に達することがないためで、給付がないという意味ではありません。また、60歳以上65歳未満の日数は45〜59歳より短く設定されています。
会社都合でも「勤続が短ければ日数は同じ」です
表2の「1年未満」の列がすべて90日である点、そして30歳未満は「1年以上5年未満」も90日である点に注目してください。 上乗せを定めた雇用保険法23条は「算定基礎期間が1年以上(30歳未満の方は5年以上)のものに限る」と条件を付けており、 それに満たない場合は表1と同じ90日に戻ります。 「会社都合だから長くもらえるはず」と考えていた方が、実際には90日で自己都合と変わらなかった、というのは 制度上そうなるケースです。
なお、特定理由離職者には2つのタイプがあり、この表2が使えるのは雇止めのタイプ(範囲の1)に限られます。 しかもこれは恒久的な扱いではなく、受給資格に係る離職の日が2027年3月31日までの間にある方に限るという期限付きの措置です(2009年3月31日以降の離職が対象)。 病気・出産・介護・配偶者の転勤による転居など「正当な理由のある自己都合」のタイプ(範囲の2)は、 給付制限がかからないという大きな利点はあるものの、日数は表1と同じです。 このタイプの違いは「特定理由離職者とは?認定されると給付制限がなくなる仕組み」で詳しく解説しています。
どの離職理由に当てはまるかを最終的に判断するのはハローワークです。 離職票に記載された離職理由に事実と異なる点がある場合は、ハローワークに申し出て確認を求めることができます。 離職理由による違いの全体像は「自己都合退職と会社都合退職で失業手当はどう変わる?」にまとめています。
【表3】就職が困難な事情がある方
障害があるなど、就職が著しく困難な事情があるとしてハローワークに認められた方(就職困難者)には、別の表が適用されます。 対象となるのは、雇用保険法施行規則32条が定める次の方です。
- 障害者雇用促進法に規定する身体障害者・知的障害者・精神障害者
- 更生保護法にもとづき、職業のあっせんに関して保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあった方
- 社会的事情により就職が著しく阻害されている方
| 離職時の年齢\算定基礎期間 | 1年未満 | 1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
※算定基礎期間が1年以上であれば、5年でも20年でも日数は変わりません(雇用保険法22条2項)。
この区分に該当するかどうかは、ハローワークが手続きの中で確認・判断するものです。 本記事は制度の説明であり、該当の有無を自己判断したり、この区分を目的として何らかの手続きを行うことを勧めるものではありません。 心当たりがある方は、受給手続きの際にハローワークの窓口でご相談ください。
横軸の「算定基礎期間」はどう数えるのか
3つの表すべての横軸になっている算定基礎期間。ここが本記事でもっとも誤解の多いところです。 受給資格の判定に使う被保険者期間(「離職前2年間に12か月」のあれ)とは別の概念で、 条文も雇用保険法22条3項と14条に分かれています。
| 被保険者期間(法14条) | 算定基礎期間(法22条3項) | |
|---|---|---|
| 何に使うか | 受給資格があるかの判定 | 所定給付日数の判定 |
| 数え方 | 賃金支払基礎日数11日以上の月を1か月として計算(※) | 被保険者として雇用されていた期間そのもの |
| 過去の分がリセットされる条件 | 受給資格を取得したことがある(受給資格の決定を受けた) | 基本手当などの支給を受けたことがある |
※11日以上の月だけで12か月(特定理由離職者などは6か月)に足りない場合に限り、賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月も1か月として数えます(雇用保険法14条3項)。
注目してほしいのは3行目です。リセットの条件が非対称になっています。 被保険者期間は「受給資格の決定を受けた」時点でリセットされる(=手当を1円も受け取っていなくてもリセットされる)のに対し、 算定基礎期間は「基本手当または特例一時金の支給を受けた」場合にのみ、その受給資格に係る離職日以前の期間が除かれます。
そしてもうひとつ、日数が増える方向に効く重要なルールがあります。 前の会社を辞めてから次に雇用保険に入るまでの空白が1年以内であれば、前の会社の期間が通算されるのです (空白が1年を超えると、それより前の期間は通算されません)。
7年+4年=算定基礎期間11年 → 自己都合退職なら90日ではなく120日
会社A分は除かれ、算定基礎期間は会社Bの4年のみ → 自己都合退職なら90日
転職を経験している方が「前の会社の分は消えたと思っていた」ために、 本来120日や150日のところを90日だと思い込んでいるケースは珍しくありません。 1年以内に転職していれば、その前の会社の期間も横軸に乗ります。 ご自身の算定基礎期間は、手続き後に受け取る雇用保険受給資格者証(マイナンバーカードで手続きした方は受給資格通知)にも記載されます。
なお、受給資格そのものの数え方(11日以上の月を1か月と数えるルール)は 「雇用保険の加入期間はどう数える?失業手当に必要な12か月・6か月の条件」で解説しています。 こちらは受給できるかどうかの話、本記事は何日もらえるかの話です。混同しないようご注意ください。
日数がわかったら、日額を掛ける
実際に受け取れる総額は基本手当日額×所定給付日数です。 基本手当日額は離職前6か月の給与から計算され、年齢区分ごとの上限額があります。 2026年8月1日改定の最新の計算式で、代表的な3ケースを計算すると次のようになります。
| ケース | 算定基礎期間・離職理由 | 所定給付日数 | 基本手当日額 | 総額の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 32歳・月給25万円 | 6年・自己都合 | 90日 | 5,776円 | 約52万円 |
| 40歳・月給30万円 | 12年・解雇 | 240日 | 6,307円 | 約151万円 |
| 50歳・月給40万円 | 22年・倒産 | 330日 | 6,744円 | 約223万円 |
※月給は残業代・通勤手当を含む総支給額(賞与は除く)とし、賃金日額を月給÷30として試算した目安です。実際の賃金日額はハローワークが離職票にもとづいて算定します。給付制限や待期期間があるため、受け取り終わるまでの期間は日数より長くなります。
同じ90日でも日額によって総額は大きく変わり、日数が長い区分では総額が200万円を超えることもあります。 日数だけ、あるいは日額だけを見ても、受け取れる金額はわかりません。 日額の計算方法は「失業手当はいくらもらえる?賃金日額と給付率50〜80%の計算方法」で詳しく解説しています。
シミュレーション自分の日数と総額を試算する
年齢・雇用保険の加入期間・退職理由・退職前の給与を入力すると、この記事の表と同じ日数テーブルで所定給付日数を判定し、2026年8月1日改定の計算式で総額の目安まで一度に計算します。
失業手当シミュレーションへ日数が「延びる」ケースと、延びないのに延びると誤解されるケース
所定給付日数は原則として表のとおりですが、一定の場合には実際に受け取れる日数が延びます。 一方で、「延長」という言葉が使われていても日数は1日も増えない制度もあり、ここが混同されがちです。
| 制度 | 日数は増えるか | 内容 |
|---|---|---|
| 訓練延長給付 | ○ | ハローワークの受講指示で公共職業訓練などを受ける場合、所定給付日数を過ぎても訓練の終了日まで支給が続きます |
| 個別延長給付 | ○ | 倒産・解雇・雇止めで離職した方のうち、再就職のための職業指導が必要とハローワークが認めた場合などに、所定給付日数に60日(一部の区分は30日)を限度として上乗せされます |
| 受給期間の延長 | × | 病気・出産・介護などで働けない期間について、受給できる期限(原則1年)を後ろにずらす手続きです。日数そのものは増えません |
※個別延長給付は、公共職業安定所長が厚生労働省令の基準に照らして判断するものです(雇用保険法24条の2)。申請すれば選べる制度ではありません。このほかにも法律上いくつかの延長給付があります。
訓練延長給付の条件は「職業訓練で失業手当は延長される?訓練終了日まで支給が続く「訓練延長給付」の条件」に、 受給期間の延長申請は「失業手当の受給期間は1年で失効|延長申請の条件・期限・必要書類(最長4年)」にまとめています。 後者は「延長」という名前ですがもらえる日数が増える制度ではない点を、必ず押さえておいてください。
逆に、日数を使い切らずに再就職した場合は、残った日数に応じて再就職手当を受け取れることがあります。 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることなどが条件です (「再就職手当とは?早く就職すると損をしないための条件」)。 所定給付日数が長い方ほど、この「残日数」も大きくなります。
よくある勘違いQ&A
転職を何度もしています。勤続年数はその都度リセットされますか?
必ずしもリセットされません。前の会社を辞めてから次に雇用保険に入るまでの空白が1年以内であれば、 前の会社の期間も算定基礎期間に通算されます(雇用保険法22条3項)。 除かれるのは、その間に基本手当や特例一時金の支給を実際に受けた場合で、 その受給資格に係る離職日以前の期間が対象です。 転職回数そのものは関係ありません。
会社都合で辞めたのに90日と言われました。間違いではありませんか?
算定基礎期間が1年未満(30歳未満の方は5年未満)であれば、90日で正しい可能性が高いです。 特定受給資格者への日数の上乗せを定めた雇用保険法23条は、適用対象を 「算定基礎期間が1年(30歳未満の方は5年)以上のもの」に限っているためです。 この場合は表1と同じ90日になります。 なお日数は同じでも、会社都合であれば給付制限がかからないため、受け取り始める時期は早くなります。
日数は年齢が高いほど長くなるのですか?
年齢が影響するのは表2(倒産・解雇・雇止め)だけです。自己都合退職の表1に年齢区分はありません。 また表2でも、もっとも日数が長いのは45歳以上60歳未満の区分で、 60歳以上65歳未満はむしろ短くなります(20年以上で330日→240日)。 「高齢なほど長い」わけではない点にご注意ください。
所定給付日数の分は、必ず全部もらえますか?
所定給付日数は「支給を受けられる上限の日数」です。 失業の認定を受けた日について支給されるため、途中で再就職すれば残りは支給されません (代わりに再就職手当の対象になることがあります)。 また受給期間(原則として離職日の翌日から1年)を過ぎると、日数が残っていても受け取れなくなります。 ただし日数が長い区分には、この1年に上乗せがあります。 45歳以上65歳未満の就職困難者(360日)は1年+60日、45歳以上60歳未満で算定基礎期間20年以上の特定受給資格者(330日)は1年+30日です(雇用保険法20条1項2号・3号)。 それでも日数と期間の差は小さいため、日数が長い方ほど受け取り切れるかの管理は重要です。
ここは必ず押さえてください
所定給付日数を左右するのは離職理由と算定基礎期間です。 実態と異なる離職理由で離職票を作成してもらうなど、偽りその他不正の行為によって手当を受けようとした場合、 雇用保険法34条1項によりその日以後は基本手当が支給されなくなります。 加えて、支給を受けた額の返還と、その2倍以下の額の納付を命じられることがあり、悪質な場合は刑事責任を問われるおそれもあります。
さらに見落とされがちなのが同条3項です。不正行為によって支給が止められ、結果として1日分も受け取れなかった場合でも、 算定基礎期間の計算上は「基本手当の支給があったものとみなす」と定められています。 つまり、実際には1円も受け取っていなくても、それまでの勤続年数の通算がリセットされ、将来の給付日数が短くなるということです。 離職票の記載に事実と違う点があると感じた場合は、自分で書き換えを求めるのではなく、ハローワークに相談してください。
まとめ
- 所定給付日数は「離職理由・算定基礎期間・年齢」の3つで決まり、90日〜330日(就職困難者は最長360日)です
- 就職が困難な事情がある方は、離職理由にかかわらず表3が優先されます
- 自己都合・定年・懲戒解雇の表に年齢区分はありません。10年未満は一律90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日
- 倒産・解雇・雇止めでも、算定基礎期間1年未満(30歳未満は5年未満)なら90日で、自己都合と変わりません
- 横軸の算定基礎期間は、空白が1年以内なら前職と通算されます。リセットされるのは基本手当などを実際に受け取った場合です
- 雇止めの特定理由離職者に表2が適用されるのは、2027年3月31日までの離職に限られます
- 総額は「日額×日数」。どちらか一方だけでは金額はわかりません
主な参照元(一次情報)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(3つの日数表・特定理由離職者の経過措置が2027年3月31日までである旨)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(受給資格・賃金日額・給付率)
- 雇用保険法(e-Gov法令検索)(第14条 被保険者期間/第20条 支給の期間及び日数/第22条 所定給付日数・算定基礎期間/第23条 特定受給資格者の所定給付日数/第24条の2 個別延長給付/第34条 不正行為による給付制限)
- 雇用保険法施行規則(e-Gov法令検索)(第32条 就職が困難な者の範囲)
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります〜令和8年8月1日から〜」(PDF・LL080731保01)(基本手当日額の年齢別上限額・下限額)
- 厚生労働省「基本手当日額の計算式及び金額(令和8年8月1日〜)」(PDF)(総額試算に用いた給付率の計算式)
※制度は改正されることがあります。最新の取り扱いは上記の公的情報および管轄のハローワークでご確認ください。
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最終更新日:2026年8月13日
※本記事は2026年8月時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の受給可否は管轄のハローワークなど関係機関の判断によります。