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制度の基本

自己都合退職と会社都合退職で失業手当はどう変わる?

同じ会社を同じ日に辞めても、離職理由の区分が違うだけで、受け取り始める時期も、受け取れる日数も変わります。 一方で「1日あたりいくらか」は退職理由では変わりません。どこが変わってどこが変わらないのかを、順番に整理します。

「自己都合」「会社都合」は誰が決めるのか

まず前提として、雇用保険の条文に「自己都合退職」「会社都合退職」という言葉があるわけではありません。 実際に区分されているのは、倒産や解雇などで再就職の準備をする時間的な余裕なく離職を余儀なくされた 特定受給資格者、契約期間の満了や正当な理由のある自己都合で離職した特定理由離職者、 そしてそのどちらにも当たらない一般の離職者という3つの区分です。 世間で言う「会社都合」はおおむね特定受給資格者、「自己都合」は一般の離職者にあたります。

そしてこの区分を最終的に判断するのは、退職した会社ではなくハローワークです。 会社が離職証明書に記載した離職理由をもとに、ハローワークが事実関係を確認したうえで判定します。 実際には退職勧奨を受けたにもかかわらず自己都合として処理されているなど、記載内容に納得がいかない場合は、 ハローワークに申し出て事実関係の調査を求めることができます。離職票が届いたら、退職日と離職理由の欄は必ず確認しておいてください。

変わるのは3つだけ

この記事の要点
  • 受給資格に必要な加入期間が違う(12か月以上/6か月以上)
  • 給付制限の有無が違う(原則1か月/なし)
  • 所定給付日数が違う(最大150日/最大330日)
  • 一方で、1日あたりの金額(基本手当日額)は離職理由では変わらない

違い① 受給資格に必要な加入期間

失業手当(雇用保険の基本手当)を受け取るには、離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が 通算12か月以上あることが原則の要件です。 ただし特定受給資格者と特定理由離職者については、離職の日以前1年間に被保険者期間が 通算6か月以上あれば受給資格を得られます。

ここでいう「被保険者期間1か月」は、在籍していた月数そのままではありません。 離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、 または賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月として数えます。 休職期間が長かった方や、勤務日数の少ない働き方をしていた方は、在籍年数の感覚と実際の被保険者期間がずれることがあります。

違い② 給付制限の有無

ハローワークで求職の申込みをして受給資格が決定されると、まず7日間の待期があります。 これは離職理由に関係なく全員に共通で、この7日間は基本手当が支給されません。

自己都合で退職した場合は、この待期が終わったあとにさらに給付制限の期間が置かれます。 かつては原則2か月でしたが、2025年4月1日以降に離職した方は原則1か月に短縮されました。 会社都合(特定受給資格者)や特定理由離職者にはこの給付制限がなく、待期の7日間が終われば支給の対象期間に入ります。

区分待期給付制限支給対象になるまで
会社都合
(特定受給資格者)
7日なしおおむね7日
特定理由離職者7日なしおおむね7日
自己都合
(一般の離職者)
7日原則1か月おおむね1か月と7日

※支給対象になる時期と、実際に振り込まれる時期は異なります。振込は失業の認定を受けた日からさらに数営業日かかります。

給付制限が3か月になる場合、解除される場合

給付制限は常に1か月とは限りません。退職日から遡って5年間のうちに、正当な理由なく自己都合退職して受給資格の決定を2回以上受けている場合は 3か月となります。また、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合(重責解雇)も3か月です。

反対に、2025年4月1日以降に、雇用の安定や再就職に役立つ教育訓練などを受けた場合には、 給付制限が解除され、待期の7日間が終わったあとから基本手当を受給できる取り扱いがあります。 対象となる訓練の範囲や手続きは決まっているため、検討する場合は事前にハローワークで確認してください。

違い③ 所定給付日数

所定給付日数は、基本手当を受け取れる日数の上限です。離職時の年齢・被保険者であった期間・離職理由の組み合わせで決まり、 90日から360日の間で設定されます。差がもっとも大きく出るのがこの項目です。

一般の離職者(自己都合・定年など)

年齢1年未満1年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢共通90日※90日120日150日

※一般の離職者は被保険者期間12か月以上が受給の要件のため、1年未満の欄は原則として該当しません。この欄は、正当な理由のある自己都合退職により被保険者期間6か月以上で受給資格を得た特定理由離職者に適用されます。雇止めによる特定理由離職者には、離職日が2027年3月31日までの間は特定受給資格者と同じ日数表が適用されます。

特定受給資格者および一部の特定理由離職者

年齢1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

※障害のある方など就職が困難な方には別の表(最大360日)が適用されます。表の数値はハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」より。

たとえば同じ勤続22年・50歳の方でも、一般の離職者なら150日、特定受給資格者なら330日です。 支給の開始時期だけでなく、受け取れる期間そのものが2倍以上変わることになります。

1日あたりの金額は退職理由では変わらない

ここは誤解されやすいところですが、基本手当日額(1日あたりの金額)は離職理由によって変わりません。 原則として、離職前6か月間に毎月きまって支払われた賃金(賞与などは除きます)の合計を180で割った「賃金日額」を出し、 そのおよそ50〜80%(60歳以上65歳未満は45〜80%)が基本手当日額になります。賃金が低い方ほど高い率が適用される仕組みです。

基本手当日額には年齢区分ごとの上限額があり、毎年8月1日に改定されます。2026年8月1日以降は次のとおりです。

離職時の年齢基本手当日額の上限額
30歳未満7,450円
30歳以上45歳未満8,270円
45歳以上60歳未満9,110円
60歳以上65歳未満7,830円
下限額(年齢共通)2,562円

※2026年8月1日改定。金額は毎年8月1日に見直されます。

シミュレーション

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年齢・雇用保険の加入期間・離職前の給与を入れると、基本手当日額と所定給付日数の目安が確認できます。自己都合と会社都合で結果がどう変わるかも比較できます。

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「会社都合にしてもらう」を目的にしない

ここは必ず押さえてください

条件を有利にするために、実際とは違う離職理由で手続きをすることは不正受給にあたります。 偽りその他不正の行為で基本手当を受けた場合、以後の支給がすべて停止されるだけでなく、返還を命じられ、 さらに原則として不正に受給した額の2倍に相当する額以下の納付を命じられます。

一方で、事実として会社都合に該当するのに自己都合として処理されている場合に、 その事実をハローワークに申し出て判定を求めることは、制度上まったく問題のない正当な手続きです。 退職勧奨を受けた経緯のメールやメッセージ、労働条件通知書と実際の勤務実態の差がわかる資料、 時間外労働の記録など、事実を裏づけるものを残しておくと、調査がスムーズに進みます。

大切なのは「有利な区分を作りにいく」ことではなく、起きた事実が正しく区分に反映されているかを確認することです。 ご自身の離職理由がどの区分にあたりそうか判断がつかない場合は、離職票を手元に置いてハローワークに相談するか、 退職前であれば、在職中にそろえておくべき資料の整理から着手することをおすすめします。

まとめ

主な参照元(一次情報)

※制度は改正されることがあります。最新の取り扱いは上記の公的情報および管轄のハローワークでご確認ください。

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最終更新日:2026年8月9日
※本記事は2026年8月時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の受給可否は管轄のハローワークなど関係機関の判断によります。

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