失業手当はいくらもらえる?
賃金日額と給付率50〜80%の計算方法
失業手当(基本手当)の1日あたりの金額は、「退職前の給与の5〜8割」とよく言われますが、 実際には賃金日額×給付率(50〜80%)という決まった計算式があり、年齢別の上限額も設定されています。 この記事では、離職前6か月の給与から自分の金額の目安を出す3つのステップを、 2026年8月1日に改定されたばかりの最新の上限額・下限額にもとづいて解説します。
この記事の内容
結論:金額は3ステップで決まる
失業手当の1日あたりの支給額(基本手当日額)は、次の3ステップで計算されます。
- ステップ1:賃金日額を出す — 離職前6か月の給与合計÷180
- ステップ2:給付率を掛ける — 50〜80%(60〜64歳は45〜80%)。給与が低い人ほど高い率
- ステップ3:上限額・下限額と照らす — 年齢別の上限額を超える場合は上限額に置き換え
「5〜8割」と幅があるのは、給付率が一律ではないからです。 また、上限額があるため、給与が高かった人ほど「実際の給与との差」は大きくなります。 以下、ステップごとに見ていきましょう。
ステップ1:賃金日額 — 6か月の給与合計÷180
計算の出発点になるのが賃金日額です。 ハローワークインターネットサービスでは「離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額」と説明されています。
- 含まれるもの:基本給のほか、残業代(時間外手当)・通勤手当・住宅手当など、毎月決まって支払われる賃金。税金や社会保険料が引かれる前の総支給額で数えます
- 含まれないもの:賞与(ボーナス)など、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金や、臨時に支払われる賃金
- 時給制・日給制・出来高払制の方の最低保障:「6か月の賃金総額÷その6か月に実際に働いた日数×70%」のほうが高い場合は、そちらが賃金日額になります(雇用保険法17条2項)
ここでいう「6か月」は単純な暦の6か月ではなく、雇用保険の被保険者期間として数えられる月(賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月など)をもとに区切ります。 欠勤や休職で給与が少ない月があった場合の数え方には細かいルールがあるため、 正確な賃金日額は最終的にハローワークが算定し、手続き後に受け取る雇用保険受給資格者証の第1面14欄に記載されます。 月の数え方の基本は「雇用保険の加入期間はどう数える?」で解説しています。
なお、賞与が含まれない点は見落としやすいポイントです。 年収ベースで考えると「思ったより低い」と感じる方が多いのは、賞与分が計算から外れるためです。
ステップ2:給付率50〜80% — 給与が低い人ほど高率
賃金日額に給付率を掛けたものが基本手当日額です。 給付率は一律ではなく、賃金日額が低い人ほど高く(最大80%)、高い人ほど低く(50%)なるように設計されています。 離職前の生活水準との落差を、給与が低かった人ほど小さく抑えるための仕組みです。
| 賃金日額(離職時59歳以下・2026年8月1日〜) | 給付率 |
|---|---|
| 3,203円以上 5,480円未満 | 80% |
| 5,480円以上 13,490円以下 | 80%→50%(賃金日額が上がるにつれ段階的に低下) |
| 13,490円超 | 50%(年齢別の上限額まで) |
※離職時の年齢が60〜64歳の方は区分が異なり、5,480円以上12,120円以下で80%→45%、12,120円超で45%です。境界となる金額は毎年8月1日に見直されます。
中間の帯(5,480円〜13,490円)では、厚生労働省が定める計算式によって80%から50%へなだらかに率が下がっていきます。 月給20〜40万円程度で退職する方の多くはこの帯に入ります。 目安として、月給20万円なら給付率は約76%、25万円なら約69%、30万円なら約63%、40万円なら約51%と、給与が高かった方ほど率は下がります。正確な計算はこのあとのモデルケースで示します。
ステップ3:年齢別の上限額・下限額と照らす
計算した基本手当日額には、離職時の年齢区分ごとの上限額があります。 2026年8月1日に改定された現在の金額は次のとおりです。
| 離職時の年齢 | 賃金日額の上限額 | 基本手当日額の上限額 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 14,900円 | 7,450円 |
| 30〜44歳 | 16,540円 | 8,270円 |
| 45〜59歳 | 18,220円 | 9,110円 |
| 60〜64歳 | 17,400円 | 7,830円 |
※下限額は全年齢共通で、賃金日額3,203円・基本手当日額2,562円です(2026年8月1日改定)。
たとえば29歳・賃金日額17,000円の方は、賃金日額が上限の14,900円に置き換えられ、基本手当日額は上限額の7,450円になります(厚生労働省リーフレットの例)。 上限に達する月給の目安は、29歳以下で約45万円、30〜44歳で約50万円、45〜59歳で約55万円、60〜64歳で約52万円。これを超える給与だった方は、年齢区分の上限額で頭打ちになります。 逆にパートタイムなどで給与が低かった方も、基本手当日額が下限額の2,562円を下回ることはありません。
この上限額・下限額は「毎月勤労統計」の平均給与額の増減に応じて毎年8月1日に見直されます。 ネット上の解説記事には改定前の古い金額のまま更新されていないものも多いため、いつ時点の金額かを必ず確認してください。 本記事の金額はすべて2026年8月1日改定の最新値です。
モデルケース:35歳・月給30万円の場合
実際に数字を入れて計算してみます。35歳、離職前6か月の給与が毎月30万円(残業代・通勤手当込みの総支給額。賞与は別)だった場合です。
- ステップ1:賃金日額=30万円×6か月÷180=10,000円
- ステップ2:10,000円は「80%→50%」の帯に入るため、厚生労働省の計算式(y=0.8w−0.3{(w−5,480)÷8,010}w)で計算すると6,307円(1円未満切り捨て)
- ステップ3:30〜44歳の上限額8,270円の範囲内なので、そのまま基本手当日額6,307円に確定(給付率は約63%)
仮に所定給付日数が90日なら、総額の目安は6,307円×90日=約56万8,000円(567,630円)です。 式は複雑に見えますが、変わる数字は「6か月の給与合計」「年齢」の2つだけです。 自分の数字で試したい方は、この計算式をそのまま実装したシミュレーターをどうぞ。
シミュレーション自分の失業手当がいくらになるか試算する
年齢・加入期間・退職前の給与を入れるだけで、基本手当日額と総額の目安を確認できます。この記事と同じ、2026年8月1日改定の計算式・上限額に対応しています。
失業手当シミュレーションへ総額は「日額×所定給付日数」
ここまで計算してきたのは「1日あたり」の金額です。受け取れる総額は、 基本手当日額×所定給付日数で決まります。 所定給付日数は離職理由・年齢・雇用保険の加入期間の組み合わせで90日〜330日(障害のある方など就職困難者は最長360日)の幅があり、 自己都合退職なら90〜150日、倒産・解雇などの会社都合なら、より長い日数が設定される場合があります。
日数の詳しい表は「自己都合退職と会社都合退職で失業手当はどう変わる?」に、 給付制限がなくなる特定理由離職者の扱いは「特定理由離職者とは」にまとめています。 また、金額が同じでも受け取り始められる時期は離職理由で変わります。 振込までのスケジュールは「失業手当はいつから振り込まれる?」をどうぞ。
よくある疑問Q&A
「給与」は手取りですか?総支給ですか?
総支給額(額面)です。税金や社会保険料が引かれる前の金額で賃金日額を計算します。 手取りで計算すると賃金日額が実際より低く出てしまうので、給与明細の「総支給額」の欄を見てください。 一方、基本手当そのものには税金がかかりません(雇用保険法12条)。受け取るときに所得税は引かれません。
ボーナスをもらった直後に辞めると金額は増えますか?
増えません。賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、賃金日額の計算に含まれないためです。 逆に言えば、賞与の支給を待ってから退職しても失業手当の金額は下がりません。 金額に影響するのは、毎月決まって支払われる賃金(基本給・残業代・各種手当)だけです。
退職前の残業が多いと金額は上がりますか?
残業代は毎月の賃金に含まれるため、離職前6か月の残業代が多ければ賃金日額は上がります。 ただし年齢別の賃金日額の上限額を超えた分は反映されません。 また、計算に使われるのはあくまで実際に支払われた賃金です。 未払い残業代がある場合は、失業手当のためというより労働者の権利として、退職前に会社へ確認しておきましょう。
ここは必ず押さえてください
賃金日額のもとになる給与額は、会社が作成する離職票(離職証明書)の記載にもとづいてハローワークが確認します。 実際より高い賃金額で離職票を作成してもらうなど、事実と異なる内容で手当を受け取ることは不正受給にあたり、 受け取った額の返還に加えて、その2倍以下の金額の納付を命じられることがあります。悪質な場合は刑事責任を問われるおそれもあります。 離職票の賃金額が実際と違うと感じた場合は、そのままにせずハローワークに相談してください。
まとめ
- 失業手当の金額は「賃金日額(離職前6か月の給与合計÷180)×給付率50〜80%」で決まります(60〜64歳は45〜80%)
- 給与に賞与は含まれず、残業代・通勤手当などは含まれます。数えるのは総支給額です
- 基本手当日額には年齢別の上限額(7,450円〜9,110円)と全年齢共通の下限額(2,562円)があり、毎年8月1日に見直されます。本記事は2026年8月1日改定の最新値です
- 総額は「日額×所定給付日数(90〜330日)」。日数は離職理由・年齢・加入期間で決まります
主な参照元(一次情報)
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります〜令和8年8月1日から〜」(PDF・LL080731保01)(賃金日額・基本手当日額の年齢別上限額と下限額・給付率の区分)
- 厚生労働省「基本手当日額の計算式及び金額(令和8年8月1日〜)」(PDF)(80%→50%帯の計算式・端数処理)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(賃金日額の定義・給付率50〜80%)
- 雇用保険法(e-Gov法令検索)(第12条 公課の禁止/第16条 基本手当日額/第17条 賃金日額・賞与等の除外/第18条 毎年8月1日の自動変更)
※制度は改正されることがあります。最新の取り扱いは上記の公的情報および管轄のハローワークでご確認ください。
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最終更新日:2026年8月12日
※本記事は2026年8月時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の受給可否は管轄のハローワークなど関係機関の判断によります。