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受給資格 読了目安:約7分

雇用保険の加入期間はどう数える?
失業手当に必要な12か月・6か月の条件

「1年働いたのに、期間が足りないと言われた」——失業手当の相談で実際に起きるすれ違いです。 原因は、受給資格の判定に使われるのが在籍した月数ではなく、専用のルールで数え直した被保険者期間だから。 この記事では、その数え方を順番に解きほぐします。

必要なのは「12か月」または「6か月」

失業手当(雇用保険の基本手当)を受け取るための加入期間の要件は、離職理由によって2通りに分かれます。 原則は、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あること。 倒産・解雇などによる特定受給資格者と、正当な理由のある自己都合退職などによる特定理由離職者は、 離職の日以前1年間に通算6か月以上あれば受給資格を得られます。

一般の離職者(通常の自己都合など) 12か月以上 離職日以前2年間のうちで通算
特定受給資格者・特定理由離職者 6か月以上 離職日以前1年間のうちで通算

※どの区分にあたるかの詳細は「自己都合退職と会社都合退職で失業手当はどう変わる?」で解説しています。
※65歳以上で離職した方は、基本手当ではなく高年齢求職者給付金(一時金)の対象となり、要件・給付の形が異なります。

この記事の要点
  • 数えるのは在籍月数ではなく「被保険者期間」という専用の単位
  • 1か月と数えられるのは、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または時間数が80時間以上の月だけ
  • 月の区切りはカレンダーの月ではなく、離職日から1か月ごとにさかのぼって区切る
  • 転職を挟んでいても、空白が1年以内前の離職で受給資格の決定を受けていなければ通算できる(手当を受け取ったかどうかは問わない)

「在籍期間」「被保険者期間」「算定基礎期間」は別物

ここが失業手当の期間の話でいちばん混乱しやすいところです。 「雇用保険の加入期間」と一口に言われますが、制度上は目的の違う2つの数え方があり、 日常語の「在籍期間」を含めると3つの言葉が混ざって語られています。

言葉何に使うか数え方
在籍期間—(日常語)入社から退職までの期間。制度の判定にはそのまま使われない
被保険者期間受給資格の判定
(12か月・6か月の要件)
離職日から1か月ごとに区切り、11日以上または80時間以上の月だけを数える
算定基礎期間所定給付日数の決定
(90日〜330日)
被保険者として雇用された期間そのもの。日数・時間による絞り込みはない

たとえば「在籍は13か月あるが、休職していて無給の月が3か月あった」という場合、 被保険者期間は10か月ほどにしかならず、一般の離職者の要件である12か月に届かない可能性があります (実際の月の区切り方は後述のとおり離職日基準のため、単純な引き算とは一致しないことがあります)。 在籍期間の感覚だけで「もらえるはず」と判断するのが危険な理由がここにあります。

「1か月」と数えられる月の条件 — 11日以上または80時間以上

被保険者期間として「1か月」に数えられるのは、区切った期間のうち、 賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある月です。 以前は日数(11日以上)だけで判定されていましたが、2020年8月の改正で時間数(80時間以上)による判定が加わりました。 勤務日数は少ないものの1日の労働時間が長い働き方でも、拾われやすくなっています。

その月の「賃金支払いの基礎となった日数」は11日以上?

はい1か月と数える
いいえ次の質問へ ↓

「賃金支払いの基礎となった時間数」は80時間以上?

はい1か月と数える
いいえその月は数えない

働き方の例で見ると、判定は次のようになります。

その月の働き方(例)日数基準
(11日以上)
時間基準
(80時間以上)
判定
フルタイム勤務(20日出勤)1か月と数える
1日8時間 × 月10日勤務(80時間)×1か月と数える
1日4時間 × 月12日勤務(48時間)×1か月と数える
休職中で賃金の支払いがない月××数えない

※日数か時間のどちらか一方を満たせば1か月と数えられます。有給休暇を取得した日は「賃金支払いの基礎となった日数」に含まれます。判定の基準はハローワークインターネットサービス「基本手当について」にもとづきます。

注意したいのは、休職や長期欠勤で賃金が支払われなかった月です。在籍はしていても、 その月は被保険者期間に数えられません。傷病による休職を経て退職する方は、 直近2年間のうち休職期間が長いほど要件に届きにくくなるため、期間の確認がより重要になります。 なお、病気やケガなどで引き続き30日以上賃金の支払いを受けられなかった期間がある場合は、 その日数を加えて、さかのぼる期間を最大4年まで延長できる取り扱いがあります(受給要件の緩和)。 一般の離職者の2年間も、特定受給資格者・特定理由離職者の1年間も対象です。 休職期間が長い方は、この措置で要件に届くことがあるため、必ずハローワークに確認してください。

月の区切り方はカレンダーの月ではない

もうひとつ見落とされやすいのが、月の区切り方です。被保険者期間は、4月・5月といったカレンダーの月でも、 給与の締め日でもなく、離職日から1か月ごとにさかのぼって区切ります。

たとえば9月15日に退職した場合、「8月16日〜9月15日」「7月16日〜8月15日」……という区切りで、 それぞれの期間ごとに11日・80時間の判定をしていきます。 給与明細の月とはズレるため、自分の感覚で数えた月数と、ハローワークが数えた月数が食い違うことがあります。

入社日〜6月15日端数※
6月16日〜7月15日判定③
7月16日〜8月15日判定②
8月16日〜9月15日判定①
離職日9月15日
9月15日に離職した場合の区切り方の例。離職日に近い側から①②③…の順に「16日〜翌月15日」の単位で区切り、区切りごとに11日・80時間の条件を満たすかを判定します。条件を満たした区切りだけが「1か月」と数えられます。※1か月に満たない端数期間の扱いは次のとおりです。

1か月に満たない端数が出た場合

さかのぼって区切っていくと、入社月のあたりで1か月に満たない端数の期間が出ることがあります。 この端数期間は、15日以上あり、かつ11日以上または80時間以上の条件を満たす場合に、 2分の1か月として数えられます。「あと半月だけ足りない」というケースでは、 この規定で要件に届くことがあるため、ギリギリの方ほど自己判断で諦めないことが大切です。

転職していても通算できる — 条件は2つ

被保険者期間は、1つの会社だけで満たす必要はありません。 「通算12か月」の「通算」とは、複数の会社での期間を合算できるという意味です。 転職を挟んでいても、次の2つの条件を満たしていれば前の会社の期間も数えられます。

通算できる条件
  • ① 空白が1年以内 — 前の会社で雇用保険の資格を失ってから、次の会社で再び被保険者になるまでの空白期間が1年以内であること
  • ② 前の離職で受給資格の決定を受けていない — 前の会社を辞めたあと、ハローワークで求職の申込みをして受給資格の決定を受けていないこと。実際に手当を受け取ったかどうかは問いません

注意したいのは、②のリセットの基準が「受け取ったかどうか」ではなく「受給資格の決定を受けたかどうか」だという点です。 ハローワークで手続きをしたものの、給付制限の期間中に就職が決まり手当を1円も受け取らなかった——という場合でも、 受給資格の決定を受けていれば、それ以前の被保険者期間は通算されません。 逆に、離職票を提出せず受給の手続き自体をしないまま1年以内に再就職していれば、期間は生きています。 「前の会社で10年働いたから、今回も長くもらえるはず」と考えていたら、 間で一度手続きをしていたため数え直しだった——というのは典型的なすれ違いです。 転職回数が多い方ほど、この通算ルールを正確に押さえておく価値があります。

ケースA:受給の手続きをせず、1年以内に再就職 通算できる
会社A
8か月
空白6か月
(受給手続きなし)
会社B
5か月

会社A 8か月+会社B 5か月=通算13か月 → 12か月の要件を満たせる

ケースB:間で受給資格の決定を受けていた 通算されない
会社A 10年
受給資格の決定
(受け取り0円)
会社B
5か月

手当を受け取っていなくても、決定を受けた時点で会社A分はリセット → 会社Bの5か月だけで判定

通算できるかどうかは「空白が1年以内か」「間に受給資格の決定を受けていないか」の2点で決まります。※図は各月が11日・80時間の条件を満たしている前提の模式図です。

給付日数を決めるのは「算定基礎期間」

ここまでの「被保険者期間」は、受給資格があるかどうかの判定に使う単位でした。 一方、何日分受け取れるか(所定給付日数)を決めるときに使うのは「算定基礎期間」で、 こちらは被保険者として雇用された期間そのものです。11日・80時間による絞り込みはありません。 このため「受給資格の判定では数えられなかった月が、給付日数の計算では効いている」ということが普通に起こります。

一般の離職者(自己都合・定年など)の所定給付日数

年齢1年未満1年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢共通90日※90日120日150日

※横軸は算定基礎期間(被保険者であった期間)です。表の数値はハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」より。
※一般の離職者は被保険者期間12か月以上が受給の要件のため、1年未満の欄は原則として該当しません。この欄は、正当な理由のある自己都合退職により被保険者期間6か月以上で受給資格を得た特定理由離職者に適用されます。雇止めによる特定理由離職者には、離職日が2027年3月31日までの間は特定受給資格者と同じ日数表が適用されます。会社都合(特定受給資格者)の場合の表は「自己都合退職と会社都合退職で失業手当はどう変わる?」に掲載しています。

算定基礎期間にも通算のルールがあり、空白が1年を超える場合や、過去に基本手当などを受け取ったことがある場合は、 それ以前の期間は含まれません。なお、ここは被保険者期間と基準が異なり、 受給資格の決定を受けただけでは除外されず、実際に支給を受けた場合にはじめて除外されます。 「手続きはしたが1円も受け取らずに再就職した」方は、受給資格の判定では前の期間が数え直しになる一方、 給付日数の計算では前の期間が生きている——ということが起こりえます。 また、育児休業給付を受けた休業期間は算定基礎期間から除かれます。 「10年以上か」「20年以上か」の境目にいる方は、この差で給付日数が変わります (会社都合など特定受給資格者にあたる場合は、これに加えて5年の境目でも日数が変わります)。 ハローワークで正確な期間を確認する価値があります。

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年齢・雇用保険の加入期間・離職前の給与を入れると、基本手当日額と所定給付日数の目安が確認できます。加入期間の区分が変わると結果がどう変わるかも比較できます。

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よくある勘違いQ&A

在籍が1年あれば、必ず12か月と数えられますか?

数えられないことがあります。休職や長期欠勤で賃金の支払いがなかった月は被保険者期間に入らないため、 在籍13か月でも被保険者期間は12か月未満、ということが起こりえます。 また入社直後に雇用保険の加入手続きが漏れていた場合も期間が欠けます。 加入状況は、ハローワークで「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会」により確認できます。

もし加入手続きが漏れていた場合でも、労働者の側からハローワークに確認を請求することができ、 給与明細や源泉徴収票などで雇用保険料が控除されていたことを確認できるときは、 2年を超えてさかのぼって被保険者期間が認められる場合があります。諦める前に必ず相談してください。

試用期間や有給消化中は数えられますか?

どちらも対象になりえます。雇用保険は加入要件を満たせば試用期間中も初日から被保険者となるため、 試用期間だからといって除外されるわけではありません。 退職前の有給消化も、有給休暇は賃金支払いの基礎となった日数に含まれるため、 条件を満たせばその月も1か月と数えられます。

期間が足りるか微妙です。どうすればいいですか?

自己判定で結論を出さないことです。判定はハローワークが離職票(離職証明書)に記載された 賃金支払基礎日数・時間数にもとづいて行うため、手元の給与明細から自分で数えた結果とは ずれることがあります。離職票を受け取ったら記載内容を確認し、微妙な場合はそのままハローワークの窓口で 確認するのが確実です。

ここは必ず押さえてください

期間を満たすために、実際の勤務実態と異なる日数や時間を離職票に記載してもらうことは不正受給にあたります。 偽りその他不正の行為で基本手当を受けた場合、以後の支給がすべて停止されるだけでなく、返還を命じられ、 さらに悪質な場合には不正に受給した額の2倍に相当する額以下の納付を命じられることがあります(いわゆる「3倍返し」です)。 逆に、実態より少なく記載されているなど記載が事実と違う場合に訂正を申し出ることは正当な手続きです。 その場合はタイムカードや給与明細など、事実を裏づける資料を添えてハローワークに相談してください。

まとめ

主な参照元(一次情報)

※制度は改正されることがあります。最新の取り扱いは上記の公的情報および管轄のハローワークでご確認ください。

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最終更新日:2026年8月9日
※本記事は2026年8月時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の受給可否は管轄のハローワークなど関係機関の判断によります。

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