失業保険は確定申告が必要?
非課税の根拠と、退職した年に所得税が戻る人の条件
失業手当(基本手当)は非課税です。確定申告書に金額を書く欄はなく、その年の収入が失業手当だけだった方は、所得税の確定申告そのものが不要になります。 根拠は雇用保険法12条(公課の禁止)です。 ただし、「確定申告をしなくていい」ことと「確定申告をしないほうがいい」ことは別です。 年の途中で退職して年末調整を受けていない方は、確定申告(還付申告)をしない限り、給与から源泉徴収された所得税は戻ってきません。 この記事では、退職のときに受け取るお金を課税・非課税に仕分けたうえで、戻ってくる額を自分で計算する手順を解説します。
この記事の内容
結論:失業保険は非課税。確定申告が要らない人と、したほうがいい人
失業手当に所得税・住民税はかかりません。雇用保険法12条は 「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない」 と定めています。基本手当だけでなく、再就職手当も技能習得手当も教育訓練給付金も、 §2のとおり失業等給付はまとめて非課税です。 したがって確定申告書に失業手当の額を書く必要はなく、その年の収入が失業手当しかなかった方は、所得税の確定申告自体が不要になります。
問題は、多くの方が受け取るのが失業手当だけではないことです。 退職した年には、退職までの給与、賞与、退職金、場合によっては解雇予告手当が入っています。 このうち課税されるものがあり、しかも年末調整を受けていないと税額が確定していません。 そのため、失業手当が非課税であることとは別に、確定申告が必要な方・したほうがよい方が出てきます。
退職のときに受け取るお金の課税・非課税 早見表
「失業保険は非課税」とだけ覚えていると、退職金や最後の給与の扱いで迷います。 退職前後に受け取るお金を、根拠となる条文・国税庁の取扱いとあわせて一覧にしました。
| 受け取るお金 | 税金 | 区分と根拠 |
|---|---|---|
| 失業手当(基本手当) | 非課税 | 求職者給付=失業等給付(雇用保険法10条2項)。雇用保険法12条により公課を課せません |
| 再就職手当・就業促進定着手当 | 非課税 | 就業促進手当=就職促進給付(同10条4項)。同じく失業等給付 |
| 技能習得手当・寄宿手当 | 非課税 | 求職者給付(同10条2項) |
| 雇用保険の傷病手当 | 非課税 | 求職者給付(同10条2項4号)。健康保険の傷病手当金とは別の制度です |
| 教育訓練給付金 | 非課税 | 教育訓練給付(同10条5項) |
| 高年齢求職者給付金・特例一時金 | 非課税 | 求職者給付(同10条3項) |
| 健康保険の傷病手当金・出産手当金 | 非課税 | 雇用保険ではなく健康保険法62条(租税その他の公課の禁止)が根拠です |
| 退職金・確定給付企業年金などの一時金 | 課税 | 退職所得(所得税法30条)。退職所得控除を引いて原則2分の1にした額が課税対象 |
| 解雇予告手当 | 課税 | 退職所得。労働基準法20条の予告手当は退職手当等に該当します(国税庁 No.2736) |
| 未払賃金立替払制度で国から受けた弁済(給与に係るもの) | 課税 | 退職した日に支払を受けるべき退職手当等とみなされ、退職所得となります(国税庁 No.2736) |
| 最後の給与・賞与・未払残業代 | 課税 | 給与所得。退職後に支払われるものでも、引き続き勤務している人の賞与等と同性質のものは給与所得とされます(国税庁 No.2725) |
※雇用保険の「傷病手当」と健康保険の「傷病手当金」は名前が似ていますが別の制度で、支給元も要件も異なります。両者の関係は「傷病手当金と失業手当は同時にもらえる?受給の順番と切り替え方」で解説しています。再就職手当の条件は「再就職手当とは?早く就職すると損をしないための条件」をご覧ください。
注意したいのは、税金の話と健康保険の扶養の話は別のルールで動くことです。 税法上の扶養(配偶者控除・扶養控除)は「合計所得金額」で判定するため、非課税である失業手当は含まれません。 一方で健康保険の被扶養者の認定では、失業手当は収入に数えます。 日本年金機構は、被扶養者の収入に雇用保険の失業等給付・公的年金・健康保険の傷病手当金なども含まれるとしています。 「非課税だから収入ゼロ」と考えると扶養の判定を誤ります。詳しくは 「失業手当をもらうと扶養から外れる?日額3,612円の壁と「外れるのは受給中だけ」の時系列」をご覧ください。
「非課税」はどこまで効くか — 住民税にも乗りません
雇用保険法12条が禁じているのは「租税その他の公課」です。所得税だけを指しているのではありません。 したがって失業手当は住民税の計算にも入りません。 住民税の課税所得に乗らないということは、住民税額をもとに決まる各種の判定にも、失業手当は影響しないということです。
ここが最も誤解の多いところです。住民税は前年の所得に対して、翌年6月から翌々年5月にかけて納めます。 そのため、退職して収入が失業手当だけになっても、在職中の所得に対する住民税の請求は止まりません。 「失業手当は非課税なのに、なぜ住民税の納付書が来るのか」と感じるのは、この時間差が理由です。 失業手当が非課税であることと、前年分の住民税を納めることは、まったく別の話です。
在職中は住民税が毎月の給与から天引き(特別徴収)されていますが、退職するとこれが続けられなくなります。 その後どうなるかは、退職した時期によって法律上の取扱いが分かれます(地方税法321条の5第2項)。
| 退職した時期 | 残りの住民税の扱い | 本人の申出 |
|---|---|---|
| 6月1日から12月31日まで | 原則として、退職した月の翌月以降の分は会社が徴収しません。市区町村から納付書が届き、自分で納めます(普通徴収)。希望すれば最後の給与・退職手当等からまとめて天引きしてもらえます | 一括徴収を希望する場合は申出が必要 |
| 翌年1月1日から4月30日まで | 残りの月割額が最後の給与・退職手当等からまとめて天引きされます(その支払額が残額を超えるときに限ります) | 申出は不要(法律上そう定められています) |
※1月から4月に退職する場合、最後の給与から残りの住民税がまとめて差し引かれるため、その月の手取りが想定より小さくなることがあります。実際の徴収額・納付時期は、お住まいの市区町村と会社の手続きによりますので、退職の前に会社の担当部署へ確認しておくと安心です。退職前の準備は「退職前にやっておくことチェックリスト」にまとめています。
なお、所得税の確定申告書を提出すれば、住民税の申告書は提出したものとみなされます(地方税法317条の3)。 確定申告をするなら、住民税の申告を別に行う必要はありません。 逆に確定申告をしない年でも、市区町村から住民税の申告書が届くことがあります。所得の有無を市区町村が把握するための手続きなので、案内に従ってください。
還付が出るのは「年末調整を受けていない人」
ここからが本題です。なぜ年の途中で退職すると税金が戻ってくるのか。 国税庁は年末調整の意義を、次のように説明しています。
「会社など給与の支払者は、役員または使用人に対して給与を支払う際に所得税および復興特別所得税の源泉徴収を行っています。 しかし、その年1年間に給与から源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額は、必ずしもその人が1年間に納めるべき税額と一致しません。 このため、1年間に源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額と1年間に納めるべき所得税および復興特別所得税の額を一致させる必要があります。この手続を年末調整といいます。」
つまり毎月の源泉徴収は「仮の額」であり、1年分を集計して精算する手続きが年末調整だということです。 年の途中で退職して年内に再就職しなかった方は、この精算の機会がないまま年を越します。 仮の額のまま納めっぱなしになるので、多くの場合は納めすぎになります。 その差額を取り戻す手続きが還付申告です。
その年、あなたは年末調整を受けましたか?
「自分は年末調整を受けたのか分からない」という場合は、源泉徴収票の「年調」という言葉の有無や、12月または退職時に会社から書類の提出を求められたかどうかが手がかりになります。 退職者について会社が年末調整を行うのは、次のいずれかに当たる場合に限られます(国税庁 No.2665)。
- 海外支店等への転勤などにより非居住者となった人
- 死亡によって退職した人
- 著しい心身の障害のために退職した人(退職後に再就職し給与の支払を受ける見込みのある人を除く)
- 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
- いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が123万円以下である人(退職後にその年内に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人を除く)
国税庁は「年の中途で退職した人で上記に該当しない人は年末調整の対象となりません」と明記しています。 3月末や6月末で退職した多くの方は、ここに当てはまりません。
戻ってくる額を自分で出す4ステップ(令和8年分)
還付額は、次の引き算で決まります。
年税額の出し方は、国税庁が示す年末調整の手順(No.2662)と同じ順序です。給与以外の所得がない方なら、次の4ステップで計算できます。
ステップ1 給与収入から給与所得控除を引く
源泉徴収票の「支払金額」が給与収入です。ここから給与所得控除を引いた額が給与所得になります。 令和7年分以降は最低額が65万円に引き上げられています。
| 給与等の収入金額(源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 1,900,000円まで | 650,000円 |
| 1,900,001円から3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
| 3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
| 6,600,001円から8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
| 8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
出典:国税庁 No.1410「給与所得控除」(令和7年分以降)。給与等の収入金額が660万円未満の場合は、この表ではなく所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)で給与所得の金額を求めます。この別表は、収入金額651,000円以上1,900,000円未満は「給与等の金額から650,000円を控除した金額」と定める一方、190万円以上は4,000円刻みの区分表になっており、収入が区分の下端でないと上の式より数百円低い額になります。後述の計算例は、いずれも別表第五で直接確認した額です。
ステップ2 所得控除を引く
給与所得から、基礎控除と社会保険料控除などを引きます。基礎控除は令和7年分・令和8年分に上乗せがあり、合計所得金額132万円以下なら95万円です。
| 合計所得金額 | 令和7年分・令和8年分 | 令和9年分以後 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 95万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 88万円 | 58万円 |
| 336万円超 489万円以下 | 68万円 | 58万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 63万円 | 58万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 58万円 | 58万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 | 0円 |
出典:国税庁 No.1199「基礎控除」。「合計所得金額」には退職所得の金額も含まれます(所得税法2条1項30号)。退職金を受け取った方は、退職所得控除を引いて原則2分の1にした後の額を足して区分を判定してください(勤続年数によっては0円になります)。
ここを落とすと還付額が小さく出ます。所得税法74条は、自己または生計を一にする配偶者その他の親族が負担すべき社会保険料を支払った場合、 その支払った金額の全額を控除すると定めています。対象には次のものが含まれます(同条2項)。
- 国民健康保険の保険料または国民健康保険税(2号)
- 国民年金の保険料(5号)。令和8年度は月額17,920円です
- 健康保険法の規定により被保険者として負担する健康保険の保険料(1号)── 退職後に任意継続を選んだ場合の保険料もここに入ります(任意継続と国保のどちらを選ぶかは「任意継続と国保はどっちが安い?退職後の軽減は離職理由コードで決まる」をご覧ください)
- 在職中に給与から天引きされていた社会保険料(源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄)
- 介護保険の保険料(3号)
日本年金機構も「納付した国民年金保険料は、所得税や個人住民税の計算上、全額、社会保険料控除の対象となります」としています。 同居の家族の国民年金・国民健康保険をあなたが払ったなら、その分もあなたの控除になります。 控除証明書や領収書は捨てずに取っておいてください。
ステップ3 課税所得に税率をかける
ステップ2で残った額(1,000円未満は切り捨て)が課税所得です。次の速算表を当てはめます。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
| 1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
出典:国税庁 No.2260「所得税の税率」(平成27年分以後)。
ステップ4 102.1%をかけて年税額を出す
ステップ3で出た所得税額に102.1%をかけ、100円未満を切り捨てた額が、その年に納めるべき所得税および復興特別所得税の額です。 源泉徴収票の「源泉徴収税額」がこれより多ければ、その差額が還付されます。
実際に計算してみる
給与以外の所得がなく、扶養している家族もいない方を例に、令和8年分の数字で計算します。
| ケースA 月給25万円・6月末で退職 | ケースB 月給40万円・9月末で退職 | |
|---|---|---|
| 給与収入 | 1,500,000円(25万円×6か月) | 3,600,000円(40万円×9か月) |
| 給与所得控除 | 650,000円 (190万円まで=65万円) | 1,160,000円 (360万円×30%+8万円) |
| 給与所得 | 850,000円 | 2,440,000円 |
| 基礎控除 | 950,000円 (合計所得132万円以下) | 880,000円 (132万円超336万円以下) |
| 社会保険料控除 | (この時点で判定できるため計算不要) | 593,760円 (天引き54万円+国民年金3か月53,760円) |
| 課税所得 | 0円 (給与所得85万円<基礎控除95万円) | 966,000円 (1,000円未満切捨て) |
| 所得税額 | 0円 | 48,300円(966,000円×5%) |
| 年税額 | 0円 | 49,300円 (48,300円×102.1%・100円未満切捨て) |
| 還付される額 | 源泉徴収票の「源泉徴収税額」の全額 | 源泉徴収税額-49,300円 |
※社会保険料控除の額は源泉徴収票の「社会保険料等の金額」と、退職後に自分で払った保険料の領収額に置き換えてください。ケースBの天引き54万円は説明のための仮の数字です。 ※ケースAは、給与所得の段階で基礎控除を下回るため、社会保険料控除を使うまでもなく年税額が0円になります。納めるべき税額が0円である以上、源泉徴収された分はすべて納めすぎということです。 ※住民税は所得税と控除額が異なるため、所得税が0円でも住民税がかかることがあります。
月給がいくらだと日額いくらの失業手当になるのか、総額でいくら受け取れるのかは、退職後の家計を組むうえで先に知っておきたい数字です。 計算のしかたは「失業手当はいくらもらえる?賃金日額と給付率50〜80%の計算方法」で解説していますが、 失業手当は非課税なので、計算で出た額がそのまま手取りになります。
シミュレーション受け取れる失業手当の総額を確かめる
年齢・雇用保険の加入期間・退職理由・退職前の給与を入力すると、基本手当日額と総額の目安を計算します。2026年8月1日改定の上限額・下限額・給付率に対応しています。非課税なので、表示される額から税金は引かれません。
失業手当シミュレーションへいつまでに、何を持っていくか
還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(国税庁 No.2030)。 2月16日から3月15日という確定申告の期間に間に合わなくても、慌てる必要はありません。 逆にいえば、過去5年以内に年の途中で退職して申告していない年があれば、今からでも取り戻せます。
| 用意するもの | 入手先・注意点 |
|---|---|
| 源泉徴収票 | 退職した会社から交付されます。退職後に届くのが通常で、これがないと申告できません。届かない場合は会社に請求してください |
| 国民年金保険料の控除証明書 | 日本年金機構から送られます。10月以降に納付を始めた分は翌年2月ごろに届きます |
| 国民健康保険料の納付額がわかるもの | 納付書の控えや口座振替の記録。国民健康保険は控除証明書が発行されない自治体が多く、自分で集計します |
| 任意継続の保険料の納付額がわかるもの | 任意継続を選んだ場合。納付書の控えなど |
| マイナンバーがわかるもの・本人確認書類 | マイナンバーカードがあれば1枚で足ります |
| 還付金を受け取る口座 | 本人名義の口座 |
退職金を受け取るとき、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、退職所得控除を反映した正しい税額が源泉徴収され、 原則として確定申告は必要ありません。 しかし提出していない場合は、退職金の支払金額に一律20.42%の所得税額が源泉徴収されます(国税庁 No.1420)。 勤続年数に応じた退職所得控除(20年以下は1年あたり40万円・最低80万円、20年超は800万円+20年を超える年数×70万円)が反映されていないため、 多くの場合は納めすぎになっており、確定申告をすることで精算できます。 退職金の源泉徴収票を確認してみてください。
よくある勘違いQ&A
確定申告書に、失業手当の金額を書く欄はありますか?
ありません。失業手当は非課税所得なので、収入としても所得としても記載しません(雇用保険法12条)。 再就職手当・技能習得手当・教育訓練給付金なども同じです。 書く必要があるのは、給与・賞与・退職金など§2で「課税」に分類したお金です。
失業手当をもらっていると、家族の扶養には入れませんか?
税金と健康保険で答えが分かれます。 税法上の配偶者控除・扶養控除は「合計所得金額」で判定し、非課税の失業手当は含まれません。 一方、健康保険の被扶養者の認定では失業手当を収入に数えます。 日額3,612円以上になると認定を外れる扱いが一般的で、この違いを知らないと後から保険料をさかのぼって請求されることがあります。 時系列と手続きは「失業手当をもらうと扶養から外れる?日額3,612円の壁」で詳しく解説しています。
国民年金の免除を受けました。社会保険料控除はどうなりますか?
社会保険料控除は「その年に実際に支払った金額」が対象です(所得税法74条1項)。 免除された期間の保険料は支払っていないため、控除の対象にはなりません。 あとから追納した場合は、追納した年の社会保険料控除になります。 免除を受けるかどうかは年金額や家計の事情で判断するものなので、控除だけを理由に決めないでください。手続きは年金事務所または市区町村の窓口です。
確定申告をすると、失業手当の受給に影響しますか?
還付申告そのものが受給に影響することはありません。確定申告は税務署への手続き、失業の認定はハローワークへの手続きで、別の制度です。 ただし失業手当を受けている期間にアルバイトなどをしたなら、税務署への申告とは別に、失業認定申告書でハローワークに申告する義務があります。 こちらを怠ると不正受給になります。線引きと申告のルールは 「失業手当をもらいながらアルバイトはできる?1日4時間の線引きと申告のルール」をご覧ください。
去年の分を申告し忘れました。もう間に合いませんか?
間に合います。還付申告はその年の翌年1月1日から5年間提出できます(国税庁 No.2030)。 たとえば令和8年中に退職した年の分なら、令和9年1月1日から令和13年12月31日まで提出できます。 必要なのはその年の源泉徴収票なので、手元にない場合は当時の勤務先に再交付を依頼してください。
収入を実際より少なく申告する、働いた事実を隠す、といった行為は税務上の問題になるだけではありません。 失業手当を受けている期間の就労を隠していた場合、それは不正受給にあたります。 偽りその他不正の行為により失業等給付を受け、または受けようとした場合、 原則としてその日以後は基本手当が支給されません(雇用保険法34条1項。やむを得ない理由がある場合の例外が定められています)。 加えて、受け取った額の返還と、その2倍以下の額の納付を命じられることがあり、悪質な場合は刑事責任を問われるおそれもあります。 申告は正確に行ってください。
まとめ
- 失業手当(基本手当)は非課税。根拠は雇用保険法12条「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない」
- 再就職手当・就業促進定着手当・技能習得手当・教育訓練給付金なども失業等給付なのですべて非課税。健康保険の傷病手当金・出産手当金は健康保険法62条により非課税
- 一方、退職金・確定給付企業年金の一時金・解雇予告手当は退職所得として課税。最後の給与・賞与・未払残業代は給与所得として課税されます
- 非課税は住民税にも及びます。ただし退職した年に届く住民税の納付書は「前年の所得」に対するもので、これは止まりません。1月1日から4月30日までの退職では、残りが最後の給与等から申出なしで一括徴収されます(地方税法321条の5第2項)
- 年の途中で退職して年内に再就職しなかった方は年末調整を受けられません。毎月の源泉徴収は仮の額なので、確定申告(還付申告)をしないと納めすぎたままです
- 年税額は「給与所得控除 → 所得控除 → 税率 → ×102.1%」の4ステップで出せます。令和7年分・令和8年分の基礎控除は最大95万円、給与所得控除の最低額は65万円
- 退職後に自分で払った国民年金・国民健康保険・任意継続の保険料は全額が社会保険料控除(所得税法74条)。生計を一にする家族の分を払った場合も対象です
- 還付申告は翌年1月1日から5年間提出できます。過去に申告していない年があれば今からでも取り戻せます
- 退職金で「退職所得の受給に関する申告書」を出していない場合は一律20.42%が源泉徴収されており、確定申告で精算できます
主な参照元(一次情報)
- 雇用保険法(e-Gov法令検索)(第10条 失業等給付の種類/第12条 公課の禁止/第34条第1項 不正受給による給付制限)
- 健康保険法(e-Gov法令検索)(第62条 租税その他の公課の禁止)
- 所得税法(e-Gov法令検索)(第2条第1項第30号 合計所得金額の定義/第28条・別表第五 給与所得/第30条 退職所得/第74条 社会保険料控除/第86条 基礎控除)。令和7年分・令和8年分の基礎控除の上乗せは租税特別措置法41条の16の2によります
- 地方税法(e-Gov法令検索)(第317条の3 確定申告書提出による住民税申告書提出の擬制/第321条の5第2項 退職した場合の特別徴収と一括徴収)
- 国税庁 No.2030「還付申告」(翌年1月1日から5年間/年の途中で退職し年末調整を受けていない場合)
- 国税庁 No.2662「年末調整のしかた」(源泉徴収額と年税額が一致しない理由/年税額の計算手順と102.1%・端数処理)
- 国税庁 No.2665「年末調整の対象となる人」(年の中途で年末調整の対象となる5類型)
- 国税庁 No.1410「給与所得控除」(令和7年分以降の表)
- 国税庁 No.1199「基礎控除」(令和7年分・令和8年分の額)
- 国税庁 No.2260「所得税の税率」(速算表)
- 国税庁 No.1130「社会保険料控除」(支払った金額の全額/生計を一にする親族の分)
- 国税庁 No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」(退職所得控除の計算/申告書未提出の場合の20.42%)
- 国税庁 No.2725「退職所得となるもの」(退職所得と給与所得の区分の基準)
- 国税庁 No.2736「解雇予告手当や未払賃金立替払制度に基づき国が弁済する未払賃金を受け取ったとき(退職所得)」
- 日本年金機構「国民年金保険料」(令和8年度は月額17,920円/納付した保険料は全額が社会保険料控除)
※税制は改正されることがあります。本記事は令和8年分の制度にもとづく一般的な解説です。個別の申告の要否・控除の可否は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。住民税・国民健康保険料の取扱いはお住まいの市区町村によります。
あわせて読みたい
最終更新日:2026年8月23日
※本記事は2026年8月時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の受給可否は管轄のハローワークなど関係機関の判断によります。